帰り道
今日は本屋に寄って帰った。
本屋を徘徊するのが好きだ。必ずしも本を買うわけではない。あれこれ表紙を見ながら、あれも読みたいこれも読みたいと、勝手に期待を膨らませつつ、時間の許す限り手に取ったりながめたりするだけ。
僕は本を読むのが遅い。それに仕事の残業時間は比較的多い方だと思う。いつも本を眺めながら、魅力を感じた本のうちほとんどは読めないのだと感じ、少し虚しい気持ちになる。
本を読むのは楽しいが、読むために生きているわけでもなく、仕事もそれなりに楽しいことはあるが、生きがいを感じるほどではない。
生きがいが無くても生きていたいしなんとなく。
生きがいを求めることって、自分を人生の主人公として、小説作るみたいなもんかな。
趣味や仕事に打ち込んだ、一本話の通るまっすぐな人生を長編小説とするならば、ふらふらなんとなく生きる短編小説集があったっていいじゃない。
なんかそんな風なことを思った。
自分は文系なのか理系なのかとか
電車で隣に座った人は何を考えてその席を選んだのかとか
このミスは自分のせいではないとか
黒Tにルイヴィトンのリュックが似合わない人いたなとか
塾帰りの小学生の集団が駅でダッシュしてたり
ツールブロックってちょんまげや辮髪の現代版かなとか
帰り道ではそんなことをいろいろ、頭に浮かんでは消えた気がする。
海に浮いたゴミが防波堤の岸に何度も打ちつけるみたいだなんて思って、でも実は自分のいるところも同じように海に浮いているのかもしれないな、ごみが波に削られて丸くなって、誰かが綺麗だって拾ってくれたらいいのかもなって、そんなことも思った。