変わらない毎日を過ごしていく勇気
NHKスペシャル「東京リボーン」おもしろかったー!
「いだてん」の続きで何となく観てたんだけど、映像、演出も力が入っていて、内容も興味深くて見入ってしまった。
東京の地下を特集するという内容だったけれど、私が1番印象に残ったのは、「日比谷線 虎ノ門ヒルズ駅」の掘削工事の場面。
地下の浅い所には通信ケーブルや電線、上下水管、ガス管などが無数に張り巡らされていて、図面での確認などできないので人力で掘削しないといけないそうで。それを専門に35年やってきた職人さんが出ておられました。
下水管から漏れるにおいに、「これだけは何年経っても慣れない」とその言葉が印象的でした。
とても重労働で、においもキツイけれど、起きて夜に地下を掘る昼夜逆転生活をずっと送ってこられて、その工事の掘削が終わったのは1年後だったそうですから、それを続けていく気持ちというのはどういう状態なのだろうと、非常に驚かされたのです。
わたしはいまアラサーで、ゆとり世代を過ごしてきました。
これまで高校受験、大学受験、就活、結婚、出産(わたし自身が産んだわけではないが)を経験しましたが、ほぼ3~5年に1度は「どの学校に行きたいか」「どの会社に入って何をしたいか」「誰と結婚したいか」「子供はほしいか」などひたすら選択の岐路に立たされ、その都度選択してきたわけです。
そのため、自分自身の人生の時間単位が3~5年で変化が欲しくなるクセがついてしまったように思います。なので仕事のプロジェクトが長かったりするとモチベーションが上がらなかったりしています。また周りでは変化を求めて転職したり起業したりする人がちらほらいます。
それに年金がもらえるのが65歳と言われるわけですから、何となく人生での活動はその65歳がリミットである想定で考えてしまい、「変化を求めて生き急ぎたくなる気持ち」があるのかなあと思います。
それと比較して、人力での掘削を専門にしている職人さんはいままで35年間も夜な夜な地下を掘ることを続けてこられたわけです…!1つ掘り終えたら達成感はあるのかもしれないけれど、時間も長いし何より大変…!
変化なく毎日続けるという意味では、仏教僧が毎日勤行を続けるのにも似ている気がする。
達成より継続がメインになってくると、生活の中で小さな変化に敏感に喜びを感じられるようになったりするのだろうか。
変化を求めてしまう人生観からは想像できない、特別な感覚だろうと思いました。
変わらない毎日、終わらない(ように見える)世界がひたすら広がっているように感じて、途方もない気持ちになりがちですが、日々地面を掘って過ごしてこられた姿を見て、毎日を強く行きていこうと何だか勇気がわいたのでした。
また変わらない毎日を生き続けるという意味では、このツイートがとても気に入っています。
才能がなかろうが、技術がなかろうが、なんでもいいから作る、生きるとは作ることなんだから、別に上達するとか無視して、働くこともしないで、とにかく作ればいいと思ってる。みんな働かなくてもいいよ。税金取られるだけだし、働かないで作ればいいよ。売らずに作って人生を全うする。なんちゃって
— 坂口恭平 (@zhtsss) 2019年2月7日
生きることは作ることと言いきっているけど、何かを作って達成するというよりは、何かしら作り「つづける」ことを人生で大切にして、楽しんで過ごしたいです。